今日 わが灯を　輪にしたら　明日生まれるのは和

市民劇のあるべき姿を夢見て

　ここ３年、劇団わが町は、市民劇のありようの一つとして、市制１００周年を迎えた地元川崎にこだわっている。
　一昨年は、陸軍登戸研究所とは何だったのか、究明する高校生達を追って、『あしもとのいずみ』にたどり着いた。
　去年は、民話作家萩坂昇の足跡を追って、ご当地の昔話を通じて『夢ふる里』を見ることが出来た。
　そして３年目の今年は、関東大震災時に東京はじめ関東一円で起きた事件が、川崎ではどのようなものだったのかを明らかにする中で、差別のない町を目指してきた歴史に触れて、劇団わが町を『和が町』を目指すものにしたいと思っている。
　こうした取り組みをしながら、絶えず思うことは、『劇場』とは何か、『演劇』とは何なのかということである。一作ごとに、有るべき『演劇』の姿が変わり、求められる『劇場』の役割が変化していく。その変化を面白がっている自分に興味津々の私である。

劇団わが町 芸術監督　ふじたあさや