放課後シアター『くじらびと』2021.10.17(土)
2021年10月『くじらびと』の上映にあわせ、放課後シアターを行いました。
石川梵監督の初日舞台挨拶もありました。
場内はほぼ満席の大盛況でした。
石川梵監督は、30年インドネシア・ラマレラ村に通い、村人から記録してほしいとお願いされ、3年をかけて『くじらびと』を撮影したそうです。
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3Fのコラボレーションスペースに移動して、放課後シアターを開始。
今回は中学生15名、高校生1名(同伴の先生4名と見学の大学生1名)
監督はサイン会がありましたので、
まずは中学生、高校生だけで自由に感想を話してもらいました。
「くじらの迫力」「くじらの味はどんな味?どうやってたべるのか」「ラマファは死ぬかもしれないけど鯨をとっている。命をかけて採る姿に驚いた」「感謝しているところ。くじらのすべてを村で分配すること」「舟が鉄のクギをつかわないで作っているのに驚いた」「どんな言葉でコミュニケーションしているのか?現地の言葉をしゃべれるのか」「肉を切る音が大きかった」「テレビのドキュメンタリーとちがってナレーションがないのでびっくりした。どうしてかな?」「(漁で)亡くなった弟の死から家族の姿が印象的だったけど、舟をつくってまた漁に行こうとしたことがすごい」「くじらびとがワイルドだった(ワイルドってという意味?ときいたところ、一対一で、素手で銛を使うところ)」「ラマファの村を養うという責任感」「時間をかけて撮影している」「漁はどのくらいかかるのかな?」
サイン会を終え、監督が参加してくれました。
いろいろな感想や意見が出ましたので、質問や感想を監督に直接ぶつけてみました。
「クジラの味はどうなんでしょう?」
―マッコウクジラは3,000m潜るため、肉がとても硬い。歯があるので、日本で食べるのはヒゲクジラ(主にプランクトンを食べる鯨)。食べるときは煮たり、焼いたり、揚げたりする。現地の人は美味しいとかまずいとか言わない。
最初のシーンでヤシの樹液を取っているシーンがありますが、それは日曜日にのむヤシ酒になります。最初はカルピスみたいな感じ。どんどん発酵してきますが、これをお酒として飲みます。おなかがふくれちゃう飲み物です。敬虔なキリスト教徒が多いので、日曜日は働かない日でお酒を飲みます。そうすると鯨が出たりしますが、、、それでも働くことはありません。
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「クジラ肉は市場で交換していましたが…」
―現地も価格はない。1切れがバナナ12本が基準でした。そのためお金と同じですから同じサイズに切るんですね。
「言葉は?」
-地域の言葉はラマレラ語です。とくにお年寄りは。標準語はインドネシア語ですが、かなり違います。最初のころは通訳が入りましたが、今は私はラマレラ語をしゃべってコミュニケーションします。
「どうやって住民のかたわらに入ることができたのですか?」
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―言葉もありますが、20年前から写真を撮って、村に戻ったときに必ず写真を差し上げました。おそらくおおくの写真家が訪れていますが、また戻る写真家は少ないのではないでしょうか。
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「くじら漁はどのくらいあるのですか?」
鯨の来るシーズンがありますが、とれる年もとれない年もあります。エイやジンベイザメも頻繁にとれるわけではありません。待つしかありません。
例えば、映画として撮影しようした最初の年は到着前に「先日とれたよ」というので待っていましたが、滞在中はくじらは出ませんでした。「梵がいるとくじらはでない」と言われる始末。ただこの地域でいわゆる網漁を取り入れたのは近年なので、村人には大物は大切な獲物です。共同でとった鯨をすべて共同で使い切るのも特徴です。
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「インフラはどうなんでしょうか?」
―水道はありますが、遠くからパイプで送っています。そこまで水汲みにいきます。ただパイプが頻繁に壊れるのでそれが大変ですね。もし私がなにかこの町をサポートできる日がきたら、パイプを直してあげたいですね。
電気は2年くらい前にきました。鯨油のランプでの食事のシーンはちょうど停電になった日で、カメラを廻しました。
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「スマートフォンはつかえるのでしょうか?」
じつは息子がなくなったお母さんに「なにがほしい?」と聞いたところ「スマートフォン」と。wifiは別の集落の学校の近くに行かないとありませんが、その周りに集まっていますね。写真もあげてない私の写真を見せてくれるので、聞くと私のFACEBOOKからとのこと(笑)。
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「ナレーションや説明が無いのですかどうしてでしょうか?」
―いいところに気づいたね!そう。もちろん言葉で伝わることもあるけれど、そのような説明はいらないと思いました。クジラ漁で若者がなくなったときに実は家族は1週間喪に服していました。最初はそれをどう説明しようかと思って、月の満ち欠けの映像を入れましたが、上映時間もあるので、最後にはカットして使っていません。
ただ長老の話にもありますが、鯨(哺乳類)は死ぬと目を閉じるということを意識して撮影しました。
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「撮影は?」
―機材一式をもって乗りますが、船にもすごい衝撃がありますから、大変です。海に潜る撮影もしました。船の上ではみんな漁に集中しているから、邪魔にならないようにしますが。最後はGOPROを使いました。
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クジラ漁が今後存続するかは難しいと私は思いますが、この作品は村の長老から「映画を撮影してほしい」といわれて撮ったものです。映像をとることで、彼らの漁を後世に残したかったのだと思います。
この監督の言葉で放課後シアターは終了しました。
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最後にシネマ会員の滝口さんが石川梵監督の初期の写真集『海人』を持ってきてくれました。貴重な写真集をみんな熱心にみていました。