あしたがかわる「しんゆりアウトリーチ」 in カリタス小学校 出会いのワークショップ

<日程>2025年4月14日(月)15日(火)、21日(月)、22日(火)、23日(水)
<会場>学校法人カリタス小学校 ランチルーム
<参加者>カリタス小学校 3年生(3クラス)、5年生(3クラス) 各学年2回実施
<講師>原田 亮・森山 蓉子(共にPlatanus)
【はじめに】
このワークショップは、カリタス小学校の3年生と5年生を対象にした、クラスづくりを目的としたプログラムです。この学年でクラス替えがあり、新しい人間関係を築いていく大切なタイミングで実施することで、日々の安心や信頼の土台を育てていきます。
みんなと楽しく身体を動かしたり、おしゃべりしたり、一緒に表現しながら、お互いを知り、共感や相互理解を促します。さらに、その中で生まれる「対話」を通じて、自分の意見や気持ちを伝えること、相手の言葉に耳を傾けること、そして違いを受け止め、協力することの大切さを学びます。「伝える」「聴く」「共につくる」といった活動を重ねながら、「みんなが安心して自分らしくいられるクラスづくり」を目指します。
【目的】
・自分の意見や気持ちを言葉や身体で表現する力を育む
・他者の意見や表現を受け止め、共に考える姿勢を養う
・協力や対話の難しさと面白さに触れ、違いを尊重する関係性を築く
・クラス全体で信頼と協力のある関係を築く
【内容】
<1日目:みんなで動く・やってみる>
●ウォーミングアップ ※3・5年生共通
講師と一緒にリズムに合わせて身体を動かす「トントンパ」や、頭を使う変則じゃんけんなどの簡単な身体遊びからスタート。
遊びを通して講師を知ってもらい、ワークショップの雰囲気を感じてもらいます。
まずは場に慣れ、楽しい空気を共有し、みんなと自然に関わっていきます。
●仲間探しゲーム ※3年生
自分の「好きなもの(季節・色・動物)」をテーマに仲間を探し、集まるゲームに取り組みました。
「季節」や「色」のテーマでは、全員で積極的に声を掛け合い、元気で溢れていました。「動物」では声を出さずに仲間を探すことで、集中して静かに関わる空気が生まれました。
「声を使う方が探しやすかった」、「口パクやジェスチャーの方が探しやすかった」などいろいろな声があり、遊びを通じて、言葉の有無にかかわらず、お互いを知り合う小さなきっかけが積み重なっていきました。
●並び替えゲーム ※5年生
みんなで円になって、お題の順番に並び替えます。最初の名前順では活発な声かけが見られました。次の誕生日順では、声を出さずにジェスチャーのみで伝えます。「声を出せないと難しい」と感じる子もいれば、「全員で一斉に声を上げないことで、目の前の相手とのコミュニケーションに集中できる」という子もいます。
相手にどう伝えるか、どんな方法がうまくいくかを一緒に考えるきっかけとなりました。
●スプラッシュゲーム ※5年生
円になって水しぶきを避け合うイメージで行うゲームです。講師から飛んでくる水をよけつつ、両隣の人で水を飛ばし合います。
水がかかった人から脱落するため、瞬発力と集中力が試されるゲームです。自分だけでなく「今、誰の隣か」といった空間全体への意識が求められます。
●グループで形をつくろう ※3・5年生共通
4~5人のグループで相談しながら身体を使って「飛行機」や「ヘリコプター」、「船」などのお題を表現します。
一人ひとりのアイデアを出し合い、意見を交わしながら完成させる中で、協力の難しさと楽しさの両方を体験しました。
<2日目:見て・つくって・伝える>
●ウォーミングアップ ※3・5年生共通
1日目と同様のゲームを行い、楽しい雰囲気をつくります。
3年生は2人組になり交代しながらお互いの動きを真似るゲームを行い、相手をよく見て動きを合わせます。5年生はスプラッシュゲームを行って、それぞれ楽しみながら集中力を高めました。
●彫刻ゲーム ※3年生
2人組で「彫刻家」と「彫刻役」に分かれ、身体を使ってお題を表現しました。
「世界一かわいい鉛筆」や「世界一かっこいいヒーロー」などのお題に合わせて、ペアの身体を丁寧に動かして形をつくります。
自由な想像を通じて、「想像を形にする」と「相手を信頼してゆだねる」の両方を体験します。
●即興の発想ゲーム「私は木です」 ※5年生
「私は木です」の一言から、3人組で発想を広げながら関連する役を即興でつくります。
木 → 木になるりんご → それを採る子ども →…と、連想が自由に広がっていく中で、想像力を交わし合いながら、相手の表現を受け入れて主体的に発展させる力を育みました。
●グループで創作 ※3・5年生共通
3年生はグループごとに与えられた「場所(温泉、遊園地、映画館など)」のお題を身体で表現します。1回目の「飛行機」のように具体的な物ではないため、どのように表現するか話し合いが必要になります。
5年生は「浦島太郎」の物語からワンシーンを選び、台詞や動きを自分たちで話し合ってつくりました。
話し合いを通して、自分の意見を言う、相手の考えを聞く、役割を引き受けるなど、これからのクラス作りにも繋がる力が求められます。
試行錯誤を繰り返しながら最後まで創作して完成させることで、クラスメイトと「共につくりあげる」機会となるとともに、その過程で交わされた声や気持ちのやりとりが、このゲームの大きな収穫です。
最後には全グループ発表し、どんなところが良かったかをみんなでシェアします。
【最後に】
このワークショップでは、子どもたちが新しいクラスの中で安心して過ごす土台を築けるよう、「伝える」「聴く」「共につくる」活動を体験しました。
3年生では、遊びや身体表現をする中での話し合いを通して、「できた」「伝わった」「一緒につくれた」といった体験を積み重ね、関係づくりの第一歩となりました。
5年生では、「対話」により深く向き合い、自分の意見を伝えること、他者の意見を受け止めること、そして違いを尊重して協力する姿勢を育むことを大切にしながら、取り組みました。
また、今回のワークショップでは、全員で行うゲーム、5~6人のグループで取り組む創作、2~3人で発想をつなげる活動など、さまざまな人数での関わりを体験しました。最後に「どの人数でやるのが難しかったか?」を尋ねると、「全員で動くとき、意思疎通が難しかった」「少人数だと自分で考えて意見を出すのが大変だった」など、それぞれが感じた難しさは違います。講師からは「これからの学校生活でも、みんなで協力するときもあれば、数人で考える場面もある。今回やってみて、何で難しかったのか、どうすればうまくいくか、ぜひ考えてみてください」と締めくくりました。
【アンケート抜粋】
<3年生>
・いろいろなゲームをできてうれしかったです。そしていろいろな友だちとなかよくできました。
・しらない人とたくさんあそべてうれしいです。
・はなしたことのない子ともはなせました。もっといろんな子と仲良くなりたいです。
・6人で場所を表現するときに、みんなが分かってくれたのでうれしかったです。
・またえんげきあそびをやりたいです。
<5年生>
・「私は木です」が楽しかったです。木から始まるのにみんなちがう色々なものになるところが面白いです。
・すっごく楽しかったです。ありがとうございました!
・あたらしい友だちもできて最高でした!またやりたいです!
・クラス替えがあり、初めましての人がたくさんいました。そんな人と、なかよくなれるチャンスをくれてありがとうございます。
・自分たちで想像して表現するのはむずかしかったけれど、みんなで協力できてとても楽しかったです。
・あまり話したことのない子とグループになりましたが、仲良くなれました。