アフターアウトリーチin高津高校

<日程>令和 6 年11 月 9 日(土)13:00~16:00
<会場>川崎市立高津高等学校
<参加者>高津高等学校演劇部 22名
<講師>河田園子(演劇企画 JOKO)
<アシスタント>中野亮輔(劇団青年座)
【はじめに】
しんゆりアウトリーチでは2019年から川崎市高等学校演劇研究会に加盟する高校演劇部が集まる合同ワークショップを開催してきました。そこからさらに各学校が持つ悩みをクリアすることを目的とした「アフターアウトリーチ」を実施。今年度の一校目として高津高校演劇部を訪れました。
事前に演劇部から取り組みたい内容や普段抱えている悩みを聞き、希望に合わせたワークショップを行います。高津高校からは次のような悩みが上げられました。
・喉に負担をかけない発声方法
・台本を読むためのコツ、強調したいことをどうやってお客さんに伝えられるか
・役作りの仕方、役をどうやって深めるか
合同ワークショップから引き続き、講師は河田園子さん、アシスタントは中野亮輔さん。
「事前アンケートでは、発声や演じ方について『どうすればいいのかわからない』という声が多かった。どんなことでもまずは『気付いて』『考える』クセをつけていこう。普段の練習にもどんな意味があるのか、さらに良くしていくためにどうすればいいのか一緒に考えていこう」と声を掛けます。
【ウォーミングアップ・響声エクササイズ】
普段のウォーミングアップとして取り組んでいる体幹トレーニングと発声練習を行い、ウォーミングアップ一つをとっても「何のためにやっているのか」突き詰めました。
発声練習ではいきなり大きな声を出そうとして喉への負担が見られたため、喉をゆっくりと起こしていくトレーニングを加えます。さらに声帯や口腔内の構造から学び直し、声を「大きく出す」のではなく、「響かせる」トレーニングを行いました。
【ことばの伝え方】
ことばを意識して伝えることを目的とし、短いテキストを読みました。
一人ずつ読み、どの言葉を伝えたいと思ったか、そのためにどんな読み方の工夫を施したかを言語化して共有しました。
ただ文字を読むのではなく、文章の構造を考え、この言葉をどんな相手に届けたいのかを意識してみます。
【ステイタスゲーム】
役作りについての悩みを解消できるよう、ステイタスゲームというワークショップをしました。
役が持つ性質や社会的な地位(ステイタス)によって、自分の言動や他者との関わり方の変化を探っていくゲームです。
自分の感覚だけではなく、相手との関係性を具体的にしていくプロセスはこれからの役作りにも応用できます。
【テキスト】
最後に短いテキストを使い2人1組になって演じました。
テキストのセリフはシンプルで短いやりとりです。
1回目は2人で相談して自由に演じます。
2回目に演じるときは、自分の役の目的を加え、セリフに目的を達成するための「行動(アクション)」を込めます。
簡単な短いテキストでも役の「目的」を考え、セリフに「行動」を込めることで、同じテキストでも各組で違うストーリーや背景が見えてきました。
最後に講師からアドバイスを伝えます。
「最初に演じたときと変わり、目的があれば舞台上に存在する理由ができて演じやすくなる。しかし相手役の目的が自分の障害になることもあるだろう。自分はこうしたい、でも相手はどうしたいのだろう、と考えることでまた演じ方も変わってくる。」
「一つ一つのセリフに行動を込めることは、役の設計図を組み上げるようなこと。セリフには感情を込めるのではなく、行動を込めた結果で感情が生まれてくる。今回は演じ方の一つのアイデアを渡しに来た。自分のやりやすい方法を見つけてほしい。」
【さいごに】
参加した演劇部部員に感想や質問を聞きました。一人一人の熱量がとても高く、発声のことや、役作りの話を深堀りできたこと、今まで抱えていた悩みに対して具体的に解消できるよう取り組めたことにとても喜んでいただけました。
講師からは「この仲間で演劇が出来る素晴らしさを感じ、これからも演劇がある事で熱く楽しい日々を過ごしてほしい」と締めくくりました。
【アンケート抜粋】
・役作りのプロセスが衝撃的で後輩にアドバイスする観点でも参考になりました。
・ウォーミングアップのルーティンから見てもらい、改めていつもやっていることを見直す機会になりました!
・わかりやすく勉強になることばかりでした。今後の演劇活動につなげていきたいです!
・頑張って理解するというより、体感できるような学びが多くて楽しかったです。
・自分が演じるときだけでなく、他の人の変化を見ているときでも発見があり参考になりました。また参加したいです!