放課後シアター『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』2021.11.20(土)

11月22日に『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』を鑑賞し、今年2回目の放課後シアターを開催しました。

今回も監督の舞台挨拶がありました。コロナ禍が続き挨拶は久しぶりとのことでした。最後のシーンのラジオ体操に参加する場面について、また壊された団地の現在について、丁寧に説明をしてくださいました。

夕方のテスト前という日程でしたが、5名鑑賞してくれました。上映後には監督をお呼びして、4名(と先生4名)を参加しました。

監督も「見てくれてありがとう」と中学生に挨拶。「分かったかなあ」と心配そうな監督。すこし場が和みました。まずはみんなの感想を聞いてみました。

—最初におばあさんが二人がお話ししていて、なんのことだろうと思いながら見ていたら、だんだん引っ越しをしなくてはいけないということが分かってきた。

—記者会見のシーンがあってそれで状況がわかった。

ナレーションでの状況説明がないドキュメンタリーで、なにが起きているかを観察しながら見ていたことが分かります。

—いつ、どのように撮影に入ったのですか?

監督:団地の存在を知って2014年に撮影に行きました。いきなり知らない人を取材を受けてはくれないですよね。映画にもでてくるキーになる(団地内の)お店を知りました。みなさんの社交場になっている場所です。

―お店が、団地の心臓のようでしたね。なにか人の流れをつくるような。

監督:ちょうどお店の方が町内会長さんだったので、いろいろ聞くことができたのです。

―お店があるおかげで、人がお話ししたり、果物をすすめたり、買い物を届けてあげたりする日常がありますね。様子が淡々と描かれているのに驚きました。基本的には監督一人で撮影しているんですか?

監督:はい。そうです。暮らしの様子ですから、昭和の懐かしい商店みたいな言い方はされたくないとおもいました。花火の時には人がいますが、普段は賑やかではありません。

―片腕の男性が二輪車を運んでいるときに、野球部の若者がグループでジョギングしていくシーンをみて、声をかけて、助けてくれるかなと思わず期待してしまいましたが、なにもおきませんでしたね。

監督:ええ。あの場面も狙ってとっていたのではなく運んでいる様子を撮影したら、角から走ってきたんですね。あんなとき、みなさんは声をかけられる?

―(中学生)無理だと思います。かけられないと思います。

―正直な声ですね。腕が不自由な方とは気づいなかった可能性もありますね。映像をみていると助けてほしいと思ってしまいます。

―撮影した映像はどのくらいの長さだったのですか?

監督:はかってはいませんが、かなり撮影しました。映画で使っているのはかなりカメラを意識していない映像です。使っていないシーンでは、例えば最初は相手がカメラをみる聞き取りのようなインタビューもしています。

―編集の際には頭のなかでプランはありましたか?

監督:一人の人を追うよりも、いろいろな人が住んでいる様子を撮影したいと思いました。興味深いなあという方はいらっしゃるんですけど、様々な場所を淡々を追っています。もちろん引っ越しの前に思いを打ち明ける場面もありますけどね。

―逆にいろいろな方の生活に思いをはせることができるように思います。

―庭を丹精に耕したり、「お茶はいらないよ」と念を押すご近所さんに、お茶をもてなす姿など、団地暮らしの日々を垣間見たように感じます。最近皆さんはどうなのでしょうか?

監督:みなさん都内の3つの場所に引っ越されています。「新しいお風呂にはいれるのがうれしい」とおっしゃっていた方が引っ越してから、すぐに亡くなったと聞いたときは本当に残念に思いました。

90歳になる女性は最近お会いしてお話しをしましたよ。

—そうですか!最後に新作について教えていただけますか?

監督:現在制作中の作品は春に向けて準備しています。

―新作が楽しみです。それでは今日は時間も遅くなりますので、終了としたします。監督そしてみなさんありがとうございました。

 

 

 

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